SPグループの気ままに観察日記
SP部門のみんなが見た色んな物、その感想をUPします。展覧会あり、自然あり、遊びあり、建物あり、街で見た変な物あり。一見「何これ?」と思ってもそう言う物こそが後で役に立つのです!

« Main

23.空想を描くかえりみち 2008年01月10日 08:16

 昔、立体的な作品や空間的な作品より、自由に空間をつくることができるのは絵画作品であると聞いたことがある。たしかにシュールレアリズムの旗手であるダリの“竹馬のように長い足の象”や“溶け出した懐中時計”をはじめて見た時、現実の風景とは異なる超現実的な世界に魅了された。

 「たけしの誰でもピカソ」で大賞を受賞し、文化庁メディア芸術祭で審査委員会推薦作品を発表してきた森洋子が、2008年1月、絵本「かえりみち」を出版した。
 森は東京芸大で日本画を専攻したアーティストであり、最近は映像や絵本などストーリーを表現するメディアで、自ら経験した昭和30年代から40年代の子どもの視点に立つ作品を発表する。「かえりみち」は、森自身が過ごしたと思われる学校帰りのアドベンチャーを想い帰すように、見開きページで「回想」と「空想」の風景が対比された大人向けの絵本である。
 たとえば、ランドセル姿の女の子が階段の手すりを上るシーンでは、パチンコ屋の開店の花輪は、孔雀の羽と対比され、リュックを背負う少女のインディージョーンズを彷彿とさせる冒険シーンと対になる。またスバル360は、大きなカエルと。花壇の手すりと下草は、サーカスの綱とその下で拍手喝采する観衆の手と対比されている。
 画面隅々まで細かく描写しようとする日本画ならではの姿勢、また回想や空想といったイメージの世界を描くのに適した鉛筆画のモノトーンのタッチが生き、ページを何度もめくりながら“間違いを探す”楽しい時を与えてくれる。

 「アートは自由」「アートはイマジネーションが大切である」ことをあらためて感じさせてくれた、アーティストの1冊であった。 【池村明生/取締役】

HP23-1.jpg


HP23-2.jpg

HP23-4.jpg

HP23-3.jpg