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この8月、墨田区菊川という下町の一画に、仮設工事のための大きな建屋が登場した。 爽やかな水色をベースとした建屋の外壁には、空想の地中生物“スミダン”が描かれ、隣接する小学校の5、6年生全員が“スミダン”に乗るように、それぞれのシルエットが点在している。
建屋は、東京都下水道局が発注した下水道工事で、全長440mの地下トンネルを堀リ進むために必要な機材や土砂の搬入出を行う拠点となり、1年以上も設置される作業基地である。 “スミダン”計画は、周辺住民に対して工事の理解を促す目的から実施されたプロジェクトで、建屋隣の墨田区立中和小学校の協力を得ながら、小学校からも眺められる大きな壁に、子どもたちが夢見る地中のイメージを表すことを目指した。
小学校の美術の時間を利用して1学年ごとに全4回、のべ7回(最終回は合同授業)実施された授業は、美術担当の教諭と埼玉大学教育学部美術専修の学生たちの指導によって推進された。学生たちがアイデアを出し合ったカリキュラムでは、“スミダン”が登場する紙芝居、身体をつかった制作作業、1/5モデルによるワークショップなど、子どもたちにとって刺激的なプログラムが行われた。 また企画段階では環境芸術学会コージアム研究部会が担当し、施工では工事請負者である中堅ゼネコンの佐藤工業株式会社、他工事関係者の協力を得るかたちとなった。
しかし、その実状を冷静に判断するとプロジェクトの実現は、元ゼネコン社員であったたった一人のこだわりが導いた結果といえる。「印象の悪い建設業界のイメージアップを進めたい」とする強い意志が、人を動かしたのである。 元ゼネコン社員が当初から掲げた言葉は、“コージアム”。 「工事現場を、ミュージアムに」と、思いを素直に表現したキーワードがコンセプトとなり、様々な組織や人を動かす原動力となった。 【池村明生/取締役】