プラスアート
建築やまちづくりなどさまざまな場面でアーティストがかかわりつくりあげる「プラスアート」の世界。

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8.絶滅危惧種の世界に引き込むオープンミュージアム 2006年09月22日 18:02

 場所は新宿御苑の広大な芝生の真ん中。
 植物の胞子を連想させる高さ6mのアートオブジェが点在した。

 アートオブジェは、環境芸術学会が募集したフィールドアート共同作品コンペを通じて選考された作品で、タイトルは「ヴァルデスランド 〜絶滅危惧種の植物たち〜」という。

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 新宿御苑をステージとした複数アーティストによる共同作品が条件であったこともあり、「ヴァルデスランド」は新宿御苑において保存・育成につとめる“絶滅危惧種”を作品のテーマとした。
 “絶滅危惧種”といっても一般にはわかりにくいが、絶滅の危機にある動植物を括る言葉で、国内の植物では1/4ほどの種類が指定されているらしい。なかには、キキョウやヒメユリ、タチバナなど、日本人が古来より親しんできた植物も多い。

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 「ヴァルデスランド」は、フラッグで構成するアートオブジェをきっかけに、“絶滅危惧種”の世界に引き込む作品である。

 大都会を駆け抜ける風がオブジェを揺らし、御苑を訪れた人たちが近づく。
そして、オブジェ中央に設置されたQRコードを撮影すると、御苑での“絶滅危惧種”の取り組みが紹介される。
 また作品の一部として作成されたWEBサイト(http://www.waldesrand.com/)では、“絶滅危惧種”をテーマとした様々な情報が発信された。

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 いうなれば「ヴァルデスランド」は、“絶滅危惧種”を解説する展示物である。
 植物をイメージさせ風に揺れるしなやかなアートは、花粉を散らすごとく人々を惹きつけ、インタラクティブなスタイルで鑑賞者にコミュニケーションをはかる“オープンミュージアム”となっている。

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ヴァルデスランド 〜絶滅危惧種の植物たち〜(田中智博/松浦圭祐/さとう葉)

7.メッセージを持つ仮囲い2 2006年09月07日 09:45

 今回も先回に続いて、ユニークな仮囲いを紹介したい。

 場所は新宿駅南口。
 昼夜を問わず様々な人が往来する、線路を高架する橋の上である。
 橋の架け替え工事に際して何年ものあいだ露出する仮囲いの壁面に、ユニークな表現が展開された。

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 この夏からお目見えしたのは、新宿で過ごす普通(?)の人々を写した多数のポートレート写真。
 高さ3mほどある壁面を目一杯使い、等身大以上の大きさの人物がダイナミックに引き伸ばされている。
 テーマは「新宿ID」。新宿の今(アイデンティティ)を様々な人物の表情や生きざま、また周囲の雰囲気で表出させようとした試みである。

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 プロジェクトを引率するのは、アーバンアーキテクトの韓亜由美。自ら新宿で生まれ、新宿南口の橋の架け替え工事に合わせた「新宿サザンビートプロジェクト」には、ひとかたならぬ思いで臨んでいる。
 「新宿ID」はこのプロジェクトの第2弾。2005年に実施された第1弾は「新宿・青春のワード」をテーマに、年代別の出来事をキーワードやイラストレーションで表現しながら、インパクトのあるグラフィックウォールに仕立てた。

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 「新宿サザンビートプロジェクト」には、“工事現場に近づいてもらいたい”“工事を自らのことと理解してもらいたい”といった思いが基本にある。
 大きなポートレート写真のあいだには、壁面のあちこちに小さな穴が空けられ、通りがかりの人たちの興味を誘発する。 <池村明生/取締役>

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プラスエッセンスの舞台裏 その2 2006年09月02日 08:58

今回は、東京品川の元東京税関の移転に伴った、「東京入国管理局エントランス壁面アート」計画の制作舞台裏を紹介します。

コンセプトは、「品川ものがたり」

日本の玄関口となる施設の空間的役割を踏まえて「歌川広重 東海道五十三次 品川」の版画と、古代・現代・次代の時間軸をベースに、品川のまちの表情を組み合わせた「広重とのコラボレーション」を試みました。

品川のまちの特性
・東海道最初の宿場まち
・国際交流の窓口となるまち
・平和と文化をはぐくむまち
・活力にあふれた個性あるまち
・緑ゆたかなうるおいのまち

キーワード=デザインモチーフ

「港」 :港の風景(品川埠頭の航空写真)・船の行来・海苔場・洲崎 etc.
「まち」:宿場まち・商店街・人々の表情・駅・近未来都市 etc.
「文化」:祭・生活・教育・職人・子供の遊び etc.
「自然」:空・海・川・大地・花・緑 etc.

エントランスから2階へ上がるエスカレーター壁面に2枚、帰りに通る階段壁面に2枚の計4枚の構成で、広重の版画を解体させ、品川区と品川歴史館から得た情報と写真とを組み合わせ、再構成させた展開としました。

広重とデザイナーの小川さんとの格闘劇は、音楽的な進展を繰り返し、デザイン案は多角的な視点で約10案にも及びましたが、最終的に、やはりわかりやすさが勝った結果となりました。小川さんにとっては苦労が多かったと思いますが、かなりヤリガイのある駆け引きをさせてもらいました。

デザイン決定後、製作上の苦労点としては、ポジと紙焼きの古い写真達をドラムスキャンで読取り、美術陶板の転写技術を駆使してこの大きな壁画を完成させたのですが、制作チェックに四国まで行き、広重の版画の海と空の藍色に近づけるために、何度もエアーブラシで藍色の釉薬を重ねて再現させています。

それにしても、広重の版画は、いくら解体させても美しいということを改めて感じさせられました。古代→現代→次代へと品川のまちの変化は加速するのでしょうが、竣工時にはなかった、タワーマンションが続々と建設され、抜きに出ようと開発が進展する今日この頃のまちを、広重はどうみるのか気になるところです。

今回のプラスエッセンスを別の視点で表現すると、食育に力を入れる一児の親として最近思うことは、素材が良いものはどう調理しても、旨いということ。素材そのものの味を素で楽しんだ上で、違った魅力を引き出すという感覚に似ていると思います。そういう意味では、小川さんは名シェフといえると思います。

<楠本ゆり/ディレクター>


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