プラスアート
建築やまちづくりなどさまざまな場面でアーティストがかかわりつくりあげる「プラスアート」の世界。

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2.新宿御苑百周年を祝う瀧桜 2006年06月23日 19:38

 千住博は日本画画家として世界で活躍するアーティストである。現在ニューヨークにアトリエを持ち大規模な作品を制作する千住は、1995年のヴェネツィア・ビエンナーレにおいて東洋人初の優秀賞を受賞し、一躍、世界において脚光を浴びるアーティストに育っていった。

 その千住が今年百周年を迎えた新宿御苑の記念ポスターに、自作の絵を無償で提供してくれることになった。千住は東京藝大をめざして美術予備校に通っていた頃、新宿御苑を「気持ちをリフレッシュさせ、絵のモチーフが探せる魅力的な場」として頻繁に利用していた。そんな理由から、新宿御苑百周年を祝う気持ちが千住の心に自然と芽生えたようである。

 ポスターには「満開の瀧桜」という夜桜の絵が使われた。春の桜、秋の菊に代表されるように、年間通じて楽しませてくれる新宿御苑を形象化した百周年シンボルマークの背景として、闇のなかで咲き時雨れる桜が、自然の息吹と神々しさを伝えている。絵画作品とは趣を変えた「瀧桜」は、歴史・自然・伝統に支えられる新宿御苑のイメージと重なり、百年の重みと価値を伝えるポスターの役割を担った。(池)

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              「新宿御苑百周年ポスター」
              (千住博「瀧桜」/デザイン:バール/プロデュース:環境計画研究所)

b−town南青山 2006年06月21日 10:18

b−town南青山の竣工を迎えて

b−town南青山の商業施設は、南青山という立地の中で閑静な住居系地域に地下1階、地上3階建で最高高さ10M以内に抑えた店舗・共同住宅をもつ複合建物で、企画から設計・監理業務を1年5ヶ月間要しこの度、竣工を迎えることとなった。企画当初より従来の建築設計の枠に捕らわれず、建築に「プラスアート」というテーマを持ちながらデザイナー・アーティストのコラボレーションを図り、アートと建築が一体化した「豊かなまちづくり」に取り組んで来た。

外壁カーテンウォールのガラス面に中国温州の工場で製作した、約1M×2.5Mのサイズのパキスタン産グリーンオニキスを厚さ4mmにスライスし厚さ8mmのフロートガラスに圧着加工を行った製品を配置することにより、行き交う人達に威圧感を抑制し、心理的に調和を図ることで景色を構成するエレメントと一体となり、素材や光の表情を活かすことに配慮した。

またアートとしてサイン照明をとらえて、ビルのロゴ、空間を利用する人々の導線周辺に配置したサインもデザイナーと一緒に計画当初より調整しながら、人工大理石にLEDを使い、建築に組込、施設のライトアップからランドスケープ全体の夜間景観まで配慮し、まちや施設の魅力をアピールするのに効果を発揮している。

設計者、アーティスト、デザイナー及び製作者の多くの人達が関わることの課題と調整を必要としたが、完成した建物が企画当初のテーマである空間を利用する人々に精神的な豊かさを提供出来たことは、担当した者として幸せなことと思っている。今後も単に建築を創るということではなく、幅広く周辺環境や利用する人々に精神的豊かさを感じてもらえる要因として、「プラスアート」が必要と思われる。

<有田克生/ディレクター>

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1.プラスアートはパラサイト 2006年06月17日 13:32

 環研のある東京都目黒区には「目黒寄生虫館」という変わった名前の博物館がある。昭和29年に開設した寄生虫分類学の研究所で、全長8.8mのサナダムシの標本を含め、約8万点の標本や文献を収集・保存し、若い人も訪れるマニアックなスポットでもある。最初は気持ち悪がっている見学者も次第に、寄生虫の不思議な世界に引き込まれてしまうらしい。

 この5月に発行した環研の本「空間づくりにアートを活かす」のテーマはプラスアート。建築やまちづくりに際してアートを活かす考え方を、事例を持ちながら整理した本である。“ともにつくる”というスタイルにこだわるプラスアートであるからこそ、建築やまちづくりといった芸術や美術と異なるステージにおいて、アートの役割がより活かせると考えた。

 いうなれば、プラスアートは“パラサイト”である。人や動物などの生命体に宿る寄生虫や寄生植物のように、持ちつ持たれつの関係を築きながら互いの生命を維持する。プラスアートにおいて、アートの役割が発揮できるステージは大切である。逆にアートの役割が発揮されたステージは輝いている。

 このホームページ「カンケン」では、このような良好な関係を築くアートのパラサイト現象を紹介したいと考えている。(池)

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                          「空間づくりにアートを活かす」
                          (池村明生著、環境計画研究所企画/学芸出版社/2006)