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新装開店
少し間が空いてしまいました。
今回から装いも新たに「ひかりのレシピ100」を再開させていただきますので、前回に引き続きご愛読のほど、よろしくお願い致します。
今回からは、あかりを勉強したいというお嬢さんがひとり現れました。
その名はwakanaさん。これからのシリーズは彼女に宿題を出したり、迷回答をしたりしながら、楽しくあかりのレシピを身につけていただけるようになれば、と思っております。
5つのステップ
前回は、光の設計をする場合に踏むべき5段階のステップを紹介しました。
ステップ1=空間の主人公(主役)を見定める、ステップ2=≪景色≫をつくる、ステップ3=≪モデリング≫、ステップ4=≪あかるさ≫、そしてステップ5=≪輝き≫のチェック、の5段階でした。
例題1
今回は東京フォーラムのメインエントランス部分を例にとって、このステップを踏んでみたいと思います。
ステップ1(主役は誰か)さてこの空間の主役は誰でしょうか?
① エントランスを入ってくる人々
② エントランスから入ってくる人々を監視している人たち
③ 照明設計者
④ 建築設計者
⑤ 東京都
後半になると、なんだか嫌味っぽくなっていますね(笑)。
たぶんどれも正解ですが、主役の割合(主役率とでも言うべきか・・・)が重要になります。
本来は①が80%ぐらい・・・というのが自然です。しかしこの写真のシーン、①のためだと言うにはあまりにも特異な照明であることは、みなさん実感されている通りです。
③+④+⑤が主役率80%ぐらいを占めているのでは・・・と思いますが、みなさんはいかがでしょうか。

このホールは、光壁(ひかりかべ)、光床(ひかりゆか)が大胆に採用されています。
この建物以前にはこのような大掛かりな光壁、光床を採用した建築物はありません。たぶん今後もこれほど大面積の光壁、光床は出現しないだろうと思います。

この光壁・光床は、照明に携わるものであれば“一度はやってみたかった”照明手法のひとつです。しかし光で壁や床を作るには、照明と建築の大掛かりなコラボレーションがなくては実現しません。それが可能な機会を得たらば、やってみたいというのが人情というもので、「光壁・光床を思いっきりやってみました!」というのが正直なところでしょう。そしてあまりにも特異な照明手法であるため、オリジナリティを疑われるという懸念もあって、今後も出現しないだろうと想像されます。
ステップ2 ≪景色≫が作られているか?とは言うものの、あくまでも主役は①であることは言うに及びません。この照明が本来の主役を完全に無視しているとしたら相当非難されるべきですが、そうではなくて、本来の主役に対してかなり高いレベルの照明効果を発揮しているのです。
主役に対して空間の様子(特徴)やひろがりをはっきりと示す≪景色≫づくりをしていなければ、照明としては失格になります。光床はインパクトの強い≪景色≫を作り上げ、ホールに足を踏み入れた人は、一瞬にして空間の特異性を感じ取り身を引き締める、という効果があって、世に2つとない素晴らしい≪景色≫づくりに成功しています。
ステップ3 ≪モデリング≫は?
次は、主役に知らせるべき対象物の表情づくり、つまり≪モデリング≫です。
≪モデリング≫を言い換えると、光によって「・・・らしさ」を表現することです。公共のホールのエントランスの≪モデリング≫は、特にこうあらねばならないという定めはありませんが、アッパーの光に包まれた空間は、その中に居る人、在る物に対して非日常的な表情を与えるはずで、街路の雑踏からホールへの節目の空間としてのかなり質の高い≪モデリング≫を実現しています。
ステップ4 ≪あかるさ≫チェック照明の目的は、なにはともあれ明るくすることです。人間は上からの光に馴れていますから、普段光のないところに光が存在するという効果は、実際のエネルギー以上に≪あかるさ≫を感じさせる効果があります。≪あかるさ≫を感じさせるという点でもすぐれた照明だといえます。
ステップ5 ≪輝き≫チェック最後に≪輝き≫のチェックですが、本来の定義の≪輝き≫はここには存在しません。しかし、写真からもわかるように、空間全体が光を放つ宝石のような様相を呈しているのが素晴らしい。華のあるエントランスと言えます。
宿題
以上、東京国際フォーラムのエントランスのあかりをステップを踏んで解説してみましたが、wakanaさん、理解できましたか?
では、宿題を出します。
話題の建物、あるいはwakanaさんが好きな建物を1つをピックアップして、建物の中をあちこち写真を撮ってきて、どこが良いか、自分なりに解説をしてみてください。
肖像権、プライバシーなどありますから、撮影するには、許可を取るか、迷惑をかけないように注意してくださいね。
<竹内義雄/代表取締役>
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