宮崎一郎/代表取締役
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今回は、レストランの照明を考えてみましょう。 レストランは、ご存じのように多種多様で、照明計画もさまざまな考え方があります。そこでだれもがこれは典型的なレストランであろうと思える、レストランらしいレストランを見つけましたので、さっそく照明のチェックをしてみたいと思います。 約2時間、会話を中心に食事を楽しむレストランの照明計画をするうえで、もっとも大切にしなくてはいけないポイントは何でしょうか? 実は、照明計画や照明デザインの根幹は、こんなふうにその空間で一番大切にしなくてはならないものは何か、それを見極めることにあります。 ここが定まらなかったり、ぼやけていると、出来上がった環境も、ぼんやりしたものになってしまいます。 典型的なレストランで一番大切にしなくてはならないものは、相対するふたりの表情をほどよく見せること、これに尽きると思います。料理が美味しく見える・・・と考えた人もいるかもしれませんが、それはちょっと幼稚すぎるかもしれません。 相対して会話をするふたりの表情をきちんと見せるための≪モデリング≫がもっとも大切で、さらに会話の途中で目を遊ばせたりするために、店内にしかるべき≪景色≫が作りこまれていなくてはなりません。さらにこの手のレストランは、普段着ではなく、ハレの場として利用されることが多いはずですから、食器類は当然のこと、装身具への≪輝き≫への配慮がなくてはなりません。 上の写真は壁際の二人掛けのテーブル席です。 テーブル真上に設置されたピンスポット(光がある範囲以上に広がらないようにコントロールされたスポットライトのこと)が卓上全面と壁の絵を照らしています。このピンスポットは光が人の顔にまで当たらないようにテーブルの範囲内で制限されていますから、相対するふたりの顔に当たる光は、白いテーブルクロスで反射した柔らかな光が主な光となるはずで、ふたりの顔はとても柔らかな表情になります≪モデリング≫。 テーブル席から見渡す≪景色≫は、写真でお判りのように、真横の壁にかけてある絵にはピンスポットの光が届いているので、十分≪景色≫になっていますが、右奥の絵に対してはあかりがなくて≪景色≫づくりへの配慮は希薄だと言えます。 また≪輝き≫についてはピンスポットは点光源ですから、グラスや食器に≪輝き≫を生み出すはずですが、装身具へはさほど≪輝き≫を提供しないと思われます。 このレストランの照明の総合評価は80点。 ≪あかるさ≫はレストランとしては十分感じられますので100点(○○○○○)。≪景色≫づくりへの積極さが感じられず40点(××■■■)。≪輝き≫への配慮も部分的なので60点(☆☆☆■■)。もっとも大切な≪モデリング≫は90点(↓↓↓↓■) この写真は、同じレストランの中央付近にセッティングされている大型のテーブル席です。 テーブルへの照明は、先ほどの壁際二人掛け席と同じですが、天井には金箔を貼った間接照明が施され、折上げられた天井の中央部にはシャンデリアが吊り下げられています。 金箔には艶があるため、それを意図したのかどうかわかりませんが、隠れているはずの光源が映り込んでいて、間接照明の効果が半減しているのが残念です。反面、光源の数は<シャンデリア+映り込みのランプ>という具合に増えていますから、≪輝き≫効果にはプラスに働いています。 ≪景色≫については、奥の陳列ケースに納められている絵皿のコレクションに対して什器に仕込まれている照明が各絵皿に当っていて、その結果、壁際のテーブル席より良い≪景色≫に恵まれていますが、せっかくの絵画への光が少ないのは気になります。 これは全国チェーン展開しているファミリーレストランです。 ファミリーレストランの照明で、もっとも重要なポイントは≪あかるさ≫とそれなりの雰囲気づくり(落ち着き感)です。 ペンダントの光がテーブル周辺を支配していて、テーブル周りは十分な≪あかるさ≫が確保されています。またペンダントシェードが透明ガラスのため、天井面へも光が届き、このことによって≪あかるさ≫感を増幅されています。 雰囲気づくりは、≪モデリング≫ ≪景色≫ ≪輝き≫のバランスによって生み出されます。 客の表情への≪モデリング≫も、<ペンダントからの直接の光+テーブル面からの反射光+周辺からの光>のおかげで、ほどよく確保されています。 このようなチェーン店は、内装マニュアルが整っているため、照明を含めたインテリアはそつなく作りこまれていて、≪景色≫という点でもほどほどの合格点です。 ≪輝き≫については、レストランの性格上、さほど重要な要素ではないため、これも合格点といえます。 照明演出の狙いを定めること、≪あかるさ≫≪モデリング≫≪輝き≫≪景色≫の四つのモノサシを使ってみることの効果、いかがでしょうか。 竹内義雄