ひかりのレシピ100
竹内所長のカンケン流照明プランニング術。新人所員が実践を通して「ひかりのレシピ」に挑戦!
その6 →回答 2007年08月23日 18:13

前回の課題から少し時間がたってしまいましたが、
あかりのレッスンその6の回答です。
今回の宿題のテーマは前回と同じ、建物とあかりの役割分担について。
課題は
(1)ネライの明確な施設(空間)の写真を撮り、
(2)そのネライに対して建築はどのように設計しているか

(3)建築のネライを照明がどのように補っているか
(4)ネライに対して「建築」:照明は、何対何ぐらいで役割分担しているか?

今回は1カ所だけでなく、3カ所をみてみます。

11.jpg<写真1>
玉川高島屋S.Cの6階ホワイトモール(6階層分の吹抜)です。
このスペースのネライは、
・ 上階の飲食ゾーンと下階の物販ゾーンを心理的に区切るスペースとして
・ 食事をしてひと休み、またはコーヒーブレイクをするスペースとして
・ 広い百貨店の中を歩き回って、疲れたお父さんが(?)休憩するスペースとして
つまり「寛ぐ」ことがネライだと考えられます。
このネライに対して、建築は吹抜=爽やかさ、爽快感を演出しています。
建築の一部であるインテリアも、非現実的に大きい植栽の鉢や、
座面が大きなソファーを設置して、リラックスした雰囲気を(まるでリビングにいるような)演出をしています。
照明は全体をまんべんなく明るくさせる蛍光灯(上階の床厚が面発光)を設置し、
ソファーにはランプを灯しています。

方向性のある照明計画ではなく、とどまる光を配置することにより、「寛ぎ」感を演出しているのだと思います。
バランスよく5対5で役割分担されているように感じます。


222.jpg<写真2>
こちらは東京駅地下道です。ここのネライは「スムーズな通行」なので、方向性のはっきりした照明。
向こうから来る人の顔がはっきりわかる明るさ「モデリング」がしっかりとできています。
しかし、何のおもしろみもありません。建築8対照明2の役割分担だと考えます。


33.jpg<写真3>
東京駅地下道から新丸ビル方向をみると少し雰囲気が違います。


44.jpg<写真4>
新丸ビルのネライは商業施設もあり、オフィスもあり、来客の客層がバラバラでネライがはっきりしません。
大きくまとめると、新丸ビルへ来る人を迎える、というネライがあると考えます。

地下からの入り口である地下道は、東京駅地下道<写真2>と比べると、天井面の形状が異なり、
光源の色もやわらかいため、だいぶ心が高揚する感じがします。
違うスペースへ来た、という心の変化を生むスペースになっています。
建築と照明の役割分担は建築6対照明4くらいでしょうか。


55.jpg<写真5>
ここは小田急線新宿駅のロマンスカー乗り場のカフェです。
白を基調にした駅構内の中で、オレンジ色が際だって見えます。
照明は間接照明が基本ですが、建築のオレンジの壁と相乗効果で
ロマンスカーに乗って出かける、わくわく感を演出しています。
景色づくりもよくできています。
建築と照明の役割分担は5対5だと思います。

以上、公共施設を観察してみました。


<日向若菜/アシスタントディレクター>

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あかりのレッスン その6 2007年01月31日 14:43

あかりのレッスンも徐々にレベルが上ってきています。
今回の宿題のテーマは建物とあかりの役割分担について。

課題は
(1)ネライの明確な施設(空間)の写真を撮り、
(2)そのネライに対して建築はどのように設計しているか
(3)建築のネライを照明がどのように補っているか
(4)ネライに対して「建築」:照明は、何対何ぐらいで役割分担しているか?

という内容でした。

wakanaさんが選んだのは、客を現実の世界から非日常の世界へ誘(いざな)う、
TOHOシネマズ六本木ヒルズの顧客導入通路の空間。

選んだ施設が良かったですね。施設のネライが明確ですから、それに対する設計の意図、
照明の役割、すべてwakanaさんの解説通りで、今回は「言うことなし」の出来栄えです。

最後のコメントにもあるように、施設のネライを考えたり、照明との役割分担の程度を考えたりすると、従来よりも一歩踏み込んだモノの見方ができます。

照明というものは、自らを主張するものではないことは明らかですが、建築に従属するものでもありません。重要なことは、そこは何が行われる場所なのか、どうあるべきなのか、の判断です。

1月28日の日曜日、リスボンのジェロニモス修道院で開催されたベルリン・フィルのヨーロッパ・コンサートの録画番組を見ていた私は、コンサートホールの照明の悪さを、ボロクソに貶(けな)しておりました。まったく何を考えてライティングしているのかわからないヒドイ照明でした。

問題点は2つ。
ひとつはジェロニモス修道院の特徴であるドーム天井の美しさが光によって
かき消されてしまっていたこと(≪景色≫づくりがなっていない)。
もうひとつは、美しいはずの楽器に艶も風合いもなく、薄汚く見えたこと(そのものらしさ、つまり≪モデリング≫に失敗している)。
sono601.jpg
自然光でみたジェロニモス修道院の天井

こんなふうに文句を言え、という意味ではありませんが、見ていると思わず、これはなんだ!・・・と言いたくなる照明に出くわすことがあります。それとは反対にうまいな〜と感心する照明に出会うこともあります。

課題は前回と同じで、今度は気軽にいろんな施設、ライトアップをピックアップして、
それらについて、どうダメなのか、どんなふうに良いのか、解説してみてください。

参考になるかどうか、わかりませんが、
sono602.jpg
この写真は、西銀座駐車場に隣接する銀座東芝ビル地下一階の通路です。
閑散としがちな地下通路の照明としては、とてもユニークです。通路にありがちな単調さを打ち破り、メロディすら感じられます【≪景色≫づくりがうまい】。
内装材と照明方式のおかげで充分な≪あかるさ≫も確保されていますから、安心感、清潔感があって、さらに遠くからこちらに向かってくる人の表情は、まるでハリウッドライトに照らされたように読み取りやすい【≪モデリング≫がしっかりしている】。

反対に、こりゃなんだ!と言いたくなるのが下の写真。
sono603.jpg
同じ東芝銀座ビルの地下のレストラン街の通路です。
ダウンライトあり、ライン状の下面開放の蛍光灯器具あり、壁面の間接照明ありで、とりあえず、思いついた照明器具をぜんぶ、配置してみました、という照明です。壁の間接照明も、光沢のある床面に光源がすべて映りこんでいるため、気持ちは間接照明でも、実態は直接照明になっていて、さらに混乱を招いています。

施設の意図も、建築の意図も感じられません。だから・・・というわけではないでしょうが、照明が我が物顔で、とりあえず最新作を手当たり次第に取り付けてみました、という状況です。

この事例が極端なのかどうかわかりませんが、ネライが不明確な空間ほど、悲しい空間はありません。

竹内義雄

竹内さん、2007年 ひかりのレシピ100 のキーワードを教えてください。 2007年01月01日 00:00

hikari100.jpg

昨年末、スポーツジムに入会しました。更年期障害や加齢に伴うさまざまな不具合に悩まされた50代だったため、このままじゃいけない、なんとか身体造りをしなくては・・・と、運動する場づくりが長年の懸案でした。師走のある日、お昼ご飯を食べに出たついでに、近くのスポーツジムに行って入会の案内をもらい、その夜には、入会手続き完了。瞬間的に行動しないと、また後回しになってしまいそうなので電光石火の行動です。会費も月額方式では、なんだかんだ言い訳をひねり出して途中棄権しそうなので、会費一年分を先払いして、もう逃げられない状態に自分を追い込みました。腹をくくって通ってみると案外、性にあっているようで、現在のところ、楽しく通い続けています。
体調が整い、気力が回復してくれば、筆先にも勢いが出てくるはずで、今年のひかりのレシピは昨年にもまして、「なるほど、そうかそうか・・・」と納得していただける内容に仕上げてみたいと思っています。本年もご愛顧のほど、どうぞよろしくお願いします。

<竹内 義雄/代表取締役>