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仕事・忙中閑あり(その23)  2008年05月20日 09:08

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仕事・忙中閑あり(その23)

今回のテーマは「持ち株会社」です。
戦後からの日本の持ち合い制度の歴史を簡潔に振り返れば過去3回のブームがありました。1回目は1949〜1960年代前半にかけて、財閥解体により個人中心に株式が分散したため、企業乗っ取りが懸念され、独禁法の改正により株式保有制度が緩和して旧財閥系企業(主として6大企業集団)を中心としたグループ企業間の持ち合い期間。2回目は64年経済協力開発機構(OECD)加盟に伴う資本自由化を契機として、外国企業の買収阻止のために安定株主工作が増大した時期。そして3回目は80年代後半のバブル期で金融機関が発行株式を多く引き受けた時期でした。

持ち株会社とは、株式の所有を通じて傘下企業の経営を支配し、グループ全体の経営計画立案に携わる会社を言います。特に生産活動などの事業を行わない企業を純粋持ち株会社、銀行や証券会社が設立する場合は金融持ち株式会社と呼びます。
1998年に独禁法が再改正され、当該会社の設立が解禁になりました。前回のM&A防衛策の一環として、05年以降友好的な企業同士が株式を持ち合って、敵対的買収者が会社の支配権を取得するのをブロックしようとする狙いがあり、業務提携の強化という建前で持ち合いが復活しています。従来の金融機関主導のそれとは趣が異なり、事業法人間です。株式の持ち合いで安定株主比率が50%を超えれば、どんな買収側も太刀打ちできない磐石さがあるものの、持ち合い会社にとっての難点は(1)株主資本利益率(ROE)の低下、すなわち保有株式の配当利回りが低い場合、資本が長期固定化したり、株式下落で損失増になること、(2)株主による監査機能の低下、つまり議決権行使など株主権利を主張しない安定株主増加になり、経営者の保身につながり易さがあります。
前回の敵対買収で触れた通り、敵対的買収は、あくまでも現経営陣に対しての敵対であって、従業員や株主などのその他の利害関係者にとって基本的に友好であり得るということです。敵対的買収であっても、利害関係者にプラスの場合もあり、能力のない現経営者陣が居座る方が株主にとって不幸になります。

次に経営学から持ち株会社をみれば、この企業形態は事業会社(親会社)は本業をいくつかの事業部あるいは社内分社(カンパニー)の形で抱えていたものを純粋持ち株会社の下に子会社に分割します。抜けがらとなった旧親会社は戦略機能に専念することが期待されますが、その保証はありません。日本の企業は持ち株会社として、本業を中心に成長を遂げてきた経緯があり、その形態は いくつかの子会社に分割され、横並び状態になり、その存在が希薄になる懸念があります。従来の競争優位性を減殺し、その体質を弱める恐れを内在しています。いずれにしても、持ち株会社は外部からの買収に晒されないよう市場で実質的に流動する株式比率を低下させる考えがあり、本来の株式市場の精神に逆行し、個人投資家を増やしていく株主資本主義にも反します。
日本の資本市場が鎖国状態に入れば、近年日本株を買ってきた外国人投資家にも悪影響を及ぼします。経営者が従業員や株主ではなく、自分の現経営陣の利益を最優先する防衛策は、株式市場で資金調達する意味合いを減じることになります。

村井 徹


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