|

時事問題(7)家族のあり方を憶う
家族とは結び合い、反撥し合い、様々な絆を通じてお互いに影響し合っています。社会で疎外感に襲われたとき、家族の存在が頼りになるものの、個として自由を楽しむときには拘束を課します。家族の絆は各人に大きな影響を与え、人は自立します。
戦前は“家族がいるから家庭がある。家庭があるから家族が心安らかに暮すことができる。”と普通に思われていました。しかし現代は“家族はあるけれど家庭はない。”という表現になります。
家族とは正に自他の共存関係にあり、共存に耐えるとは、家族構成の個々が我慢する力を身につけて、同時にそれを発散する術をもつという意味です。子どもは家族の中で、確固とした場と役割を与えられ、正しい自己愛を育むことが大切でしょう。
戦後の風潮を概括すれば、核家族化が進み日本は欧米型の夫婦、子どもといったヨコ関係を基本とする核家族とは対照的に、親と子のタテ関係を絆とする子ども本位家族です。家が解体し家長的な父の座が失せて、父親不在・夫不在といわれる母子家庭が誕生し、家族全体を結びつけているのは、夫婦関係よりも子ども本位であるという歪な姿になっています。また家族崩壊は、夫婦あるいは親子間で対話が成り立たなくなったことも拍車をかけ、最早家族が特別な存在意義を失わせました。家族の誰かが心に傷を受ければ、その傷は心に深く浸透して、傷は刻印として残存します。子どもが理不尽な振舞をしても、初期では本人がいちばん自覚していても、親たちは腫れ物に触るように見て見ぬふりをします。母親は自分の責任であるかのように、子どもが荒れても耐えます。また父親も子どもが殴られることで愛情の確認を得たいと思っても、父親はこわばった笑顔を装い優柔不断に振舞います。このことは親子にとってつかの間の幸せに浸っていたいからでしょう。しかし世の中には、綺麗ごとずくめの家族生活など無いことが当り前ではないでしょうか。“この親にしてこの子あり”のとおり、人間をつくる素質を担うのは親です。学校や社会に接する以前の親子関係が重要です。
では「健全な核家族」とは何か。私は次の3つの要件を提起します。
(1)夫婦として父と母が子どもとの親子関係よりも、親同士の結合関係を優先させること。今や共働き、そして母親また働く妻とどうやって子育てしていくか、夫の役割、育児、家事が問われます。この新しいライフスタイルに見合う親同士の関係をどう構築するかです。
(2)世代間のタテ関係よりも、ヨコ関係を優先する秩序を保つこと。日本はタテ社会といわれ、親子の関係を優先しますが、家族という共同体はヨコ関係が基本です。そこに不安定さ、脆さがあればタテ関係は維持できません。
(3)子どもにとっての父母は、各人が望ましい男と女としてのあり方を示すこと。戦前には謹厳実直な父や良妻賢母という形がありましたが、これは自分の弱みを子どもに見せないためでした。一方、子どもの観察眼は3歳頃から発達し、親が隠してもよく見えたりします。親といえども完璧でない姿を子どもに見せて、成長していく気構えを示すことが大切です。人格=パーソナリティの語源はラテン語でペルソナ=仮面の意です。この場合、父は子どもの前で仕事、勉強やスポーツに励んでいるよう見せかけることです。また家庭人としての役割は子どもの意欲や思いやりを育むことにあります。
最近は親らしい親が減少して、大人になれない親が増え親子が友達感覚のようになり、きちんとした躾がなければ、子どもは正常に育ちません。わが家はわが家なりに家族像を考え求めるしかありませんが、家庭の教育とは、日常生活に即して、その中で火花を散らし親子が本気で議論し、喜怒哀楽を感じる場です。それがあればこそ、社会人になっても納得のいく人間関係、信頼できる人間関係の絆が生まれます。一家団欒という言葉には家族が一緒に食事し、その場で語り合うという意味があり、一人ひとりが自立して、主張したり対決する小さな共同体です。
所詮、人間は弱い存在であっても、もがきながら生きていくためには、自律心と知恵を注ぎつくところに尊厳が生まれ、誇りたる人生があります。生きることは綺麗ごとでは済まされず、完璧な人生もありえないはずです。しかし人生には、実現可能な夢を抱いて邁進する過程で、自分を鍛え社会生活に順応する身繕いをして、挑戦できるものがあるのも確かです。
最後に「理想的な家族像」を描き出します。
(1)父母の力がほぼ同じで、釣合いが採れていること。
(2)夫婦が1つの単位で、子どもたちと一線を引いていること。
(3)家族が1つの志向や行動をもっていること。
(4)思いやりや共感性を育むこと。
村井 徹

LINK : 他のブログへGO !
スペースメディア/プラスアート/ひかりのレシピ100/
かんばん記事/KOJIMA no MEMO/エモーショナル スタイリング
ビジョンチャンネル/パビリオンチャンネル / パーソンチャンネル/コラムチャンネル
|