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—多様化する階層を捉える—
元来、階級・階層という用語は英国に起源があります。英国で階級社会が現存しているのは、制度ではなく歴史の中で培われた意識が定着しているからです。産業革命以後、上流、中流(中産)と労働者階級を形成。上流とは王族、貴族と土地所有者です。中流は主に資本家、銀行家など経営によって得た利益で暮らすブルジョアや医師・弁護士などの頭脳労働者をいいます。また労働者は主に肉体労働によって生活の糧を得ている人々です。今もこれらの階級意識が定着しているのは、各々の階級で人権と自由な生き方が認められている証しです。誰もが誇りをもって自分の居場所に満足し、個性が尊重される社会だからです。
日本では上流、中流と言えば、人を社会的地位や所得等で差別している感がします。中流意識は1950年代後半から1970年代前半にかけて高度経済成長期に発展しました。サラリーマンを中心に“新中間層”が増加し、財産を所有しないものの、所得が毎年増えて生活水準が向上する期待感が膨らんだことに基因しました。
従来のモノの所有という視点からではなく、ライフスタイルの視点から、中流意識が崩壊する過程を探るのが今回のテーマです。特に“団塊ジュニア世代”と呼ばれる現在30歳代前半を中心にスポットを当てます。この世代は人口も多く社会や消費に影響を与えます。広義の階層意識は、単に本人の所得、財産、学歴、職業などに規定される他、価値観、性格、趣味、家族像などにも深く関与し、親の財産、所得、学歴なども反映した意識です。
2005年朝日新聞社の世論調査によると、“1億総中流化“と言われたように1970年度の中流意識は90.2%と最高率でしたが、昨年度には79.0%と減少しています。その細目分布では、上述の期間に「中の中」は変らず「中の下」が増え、「中の上」が減り社会構造(生活水準)が変化しています。直近の調査では中流意識が50%を割っていると報道されています。このことは皆んなが中流であることに価値はなく、自分にとっての生きがい生活を指向しているようにも見えます。また少子高齢化、人口減少といった社会構造の変化が、家族、教育、雇用、消費などの生活面で大きな変化をもたらしています。
新聞・雑誌等のメディアから女性の動向を想定すると、1986年、男女雇用機会均等法が施行され、総合職として高給を得る人が増加し、他方でフリーター、パートや派遣社員として働く人も増えました。つまり女性の生き方が多様化し、類型化すると①職業指向と高地位指向のミリオネーゼ群、②大多数の普通のOL群、③専門学校で資格職種やアーチスト系職種群、④専業主婦指向群に大別できます。一方、男性の場合、成果主義の導入、起業家の増加、フリーター増や晩婚化などが絡み合い30歳前後でいくつかの類型があり、①高所得指向で出世欲も強い一流大学出身の上場企業ビジネスマン群、②高所得指向であるが出世欲が弱くマイペースで自分好みの仕事指向群、③勤勉さもなく才能もなく仕事をただこなしていく労働者群、④仕事好きでなく、自分の趣味に生きるフリーター群です。現在の団塊ジュニア世代は、子ども時代に豊かな消費生活を過し、年をとればその生活水準が落ちる不安感があります。男女共、年間所得が400万円を超えれば、1人暮しが可能であり、男性の所得だけ、または共働き所得がある場合、年収500万円が結婚の壁になるようです。そして子どもが産まれたとき、妻が仕事をやめるのは年収500〜700万円が目安です。男女共、若いときに自分らしく生きることで満足がえられても、30歳を過ぎると所得も生活満足度も不安定で夢が儚なく消え下流意識を助長します。
“男は男らしく、女は女らしく”と言いますが、その意味は、男性は性格が明るく、人の好き嫌いもなく、気配りができて実行力があり、依存心が弱いこと。女性は知的で礼儀正しく、自分の考えをもって人を思いやる頑張屋で仕事もできる人でしょう。女性の社会進出によって、女性の生き方も多様化しましたが、必ずしも幸福が多様化したわけではなさそうです。現状でも富裕な男性との世帯、専業主婦と子どもがいる世帯、共働きの夫婦だけの世帯といった従来型の結婚像や家族像が優勢です。
所詮、結婚とは自由恋愛が主流であるものの、学歴、職業、所得、性格や趣味など階層がもつ属性が厳然と存在しているのではないでしょうか。要は身の丈に合った“分相応”の意識とライフスタイルが近未来でも基本であることは不変でありましょう。
村井 徹

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