村井徹/監査役 セイコー株式会社を退職後、経営コンサルタントに携わり、現在、当社の監査役等を務める。
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今回のテーマは、「コミュニケーション考」です。仕事上のコミュニケーション能力向上のために、そのスキル・テクニックを教示する数多のハウツウ本が店頭陳列されています。コミュニケーションを高めることは、仕事の作法、報・連・相、上司部下間の信頼形成に必須です。 その1で脳の働きとして「知・情・意」を述べましたが、これらはコミュニケーションの説得が成立する条件であることを理解する必要があります。 説得とは、説明して納得させることであり、相手がわからない内容をわかりやすい形に変換して伝達し受け入れさせることにあります。そのために相手の精神作用である知情意に総合的に訴えます。 「知」?論理的にわからせる(相手が理解できる言葉で) 「情」?相手の感情を害さない(最低限の対人マナー厳守) 「意」?相手にとっても利害が相対的にプラスになる(自己中心から相手の利益を示す) コミュニケーションを論ずる場合、私は次の思想家を思い浮かべます。それは江戸元禄期の伊藤仁斎です。幕府の根幹をなす朱子学を問い直し、人間認識としてテーゼ「人の外に道なし、道の外に人無し」があり、前者は人間存在の本質を表現し、後者は規範的理念への志向を表現しています。すなわち、道は人を離れてはなく、共同的関係に成り立つ基底的な考えを提示しているからです。 コミュニケーションの基本は、お互いに自分の考えを述べ合うことであり、人間関係を深める対話です。そのためには、構成員が各々自立し、思考し、対等にコミュニケートしますが、報・連・相の場合、各々が対話した内容を確認することが大事です。対話のコツは、先ずは無理難題であっても、一応受けとめて(共感)その後反論ではなく、一緒によい考えや対応を見い出すことです。従って反語であるメしかしモやメでもモは避けて、発展的な表現であるメそこでモやメではモを適応すれば、より良いコミュニケーション、すなわち協働者になります。私はこのようなコミュニケーションを仕事指向と人指向、つまり理性と感性のバランス化と捉えています。そこに前述した知情意との整合性がある所以です。